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歯周病を放置するとどうなる?歯を失うだけではない全身への影響と早期治療の重要性




「歯ぐきから血が出るけれど、そのうち治るだろう」「少し腫れているだけだから様子を見よう」と、歯周病の症状をそのままにしていませんか。

歯周病は初期には痛みがほとんどないため、自覚症状が少なく、気付かないうちに進行しやすい病気です。そのため、「サイレントディジーズ(静かに進行する病気)」とも呼ばれています。

しかし、歯周病を放置すると、歯ぐきの炎症だけでは済みません。歯を支えている骨が少しずつ溶け、最終的には健康だった歯まで抜け落ちてしまうことがあります。また、近年では歯周病が糖尿病や心筋梗塞、脳梗塞、誤嚥性肺炎、さらには妊娠中のトラブルなど、全身の健康とも深く関係していることが明らかになっています。

日本では成人の多くが歯周病、または歯周病予備群であるといわれていますが、自分では気付いていない方も少なくありません。そのため、「歯が痛くないから大丈夫」と思っていても、実際には病気が進行していることがあります。

歯周病は早期に発見し、適切な治療と毎日のセルフケアを続けることで進行を抑えることができます。一方で、放置すればするほど治療は複雑になり、歯を残せる可能性も低くなります。

この記事では、歯周病を放置すると起こる変化、全身への影響、治療方法、予防のポイントについて詳しく解説します。



◆◇ 歯周病とはどんな病気?

歯周病とは、歯と歯ぐきの境目にたまった細菌によって炎症が起こる病気です。

歯磨きが十分にできていないと、歯の表面にはプラーク(歯垢)が付着します。

プラークは食べかすではなく、多くの細菌が集まってできた細菌のかたまりです。この細菌が毒素を出すことで歯ぐきに炎症が起こります。

初期の段階は「歯肉炎」と呼ばれます。

歯ぐきが赤く腫れたり、歯磨きの際に出血したりすることがありますが、この段階ではまだ歯を支える骨には大きな影響はありません。

しかし、そのまま放置すると炎症が歯ぐきの奥まで広がり、「歯周炎」へ進行します。

歯周炎になると歯を支えている骨が少しずつ溶け始めます。

歯周ポケットも深くなり、細菌がさらに増殖しやすい環境になります。

歯周病は虫歯とは異なり、痛みがほとんどないまま進行することが特徴です。

そのため、自分では気付かないうちに重症化してしまう方も少なくありません。

また、歯石も歯周病を悪化させる原因になります。

歯石そのものが病気を起こすわけではありませんが、表面がざらざらしているため細菌が付着しやすくなり、歯周病菌が増殖する環境を作ってしまいます。

歯周病は自然に治ることはほとんどありません。

進行を防ぐためには、毎日の丁寧な歯磨きと歯科医院での専門的な治療やメンテナンスが必要になります。



◆◇ 歯周病を放置すると歯はどうなる?

歯周病を放置した場合、最も大きな問題となるのが歯を支える骨が失われることです。

歯は顎の骨にしっかり固定されているように見えますが、実際には歯根膜という組織を介して骨とつながっています。

歯周病が進行すると、細菌による炎症によってこの骨が少しずつ破壊されていきます。

骨は一度失われると完全に元の状態へ戻すことは容易ではありません。

そのため、病気が進むほど歯は支えを失い、少しずつ揺れ始めます。

初めは硬い物を噛んだときだけ違和感がある程度ですが、さらに進行すると普通の食事でも歯がぐらつき、痛みを伴うことがあります。

最終的には歯を支えられなくなり、自然に抜けてしまったり、抜歯が必要になったりすることもあります。

日本で歯を失う原因として最も多いのは虫歯ではなく歯周病です。

さらに、歯を一本失うだけでも噛み合わせは変化します。

隣の歯が倒れたり、向かい合う歯が伸びてきたりすることで、お口全体のバランスが崩れることがあります。

その結果、さらに歯へ負担がかかり、他の歯も失いやすくなる悪循環が起こることがあります。

また、歯周病が進行すると強い口臭の原因にもなります。

歯周ポケットの中で細菌が増殖すると、臭いの原因となるガスが発生しやすくなるためです。

歯周病は一本の歯だけの問題ではなく、お口全体の健康に大きな影響を与える病気なのです。





◆◇ 歯周病は全身の健康にも影響する

近年の研究では、歯周病はお口の中だけではなく、全身の健康とも深く関係していることが分かっています。

歯周病菌や炎症によって作られる物質は、歯ぐきの血管から体内へ入り込み、全身を巡ります。

その影響として最もよく知られているのが糖尿病です。

糖尿病になると免疫力が低下し歯周病が悪化しやすくなります。

一方で歯周病が進行すると炎症によって血糖値が上がりやすくなり、糖尿病のコントロールが難しくなることがあります。

このように両者は互いに悪影響を及ぼし合う関係にあります。

また、歯周病は心筋梗塞や脳梗塞などの心血管疾患とも関連すると考えられています。

慢性的な炎症が血管へ負担を与え、動脈硬化を進行させる要因の一つになる可能性があります。

高齢者では誤嚥性肺炎にも注意が必要です。

お口の中の細菌が唾液とともに気管へ入り込み、肺炎を引き起こすことがあります。

そのため、歯周病予防は誤嚥性肺炎の予防にもつながります。

妊娠中の歯周病も重要です。

歯周病による炎症が早産や低出生体重児のリスクを高める可能性があることが報告されています。

このように歯周病は「歯ぐきの病気」ではなく、全身の健康を左右する病気でもあるのです。



◆◇ 歯周病は治療できる?進行を防ぐために大切なこと

歯周病は早期であれば改善が期待できます。

歯肉炎の段階であれば、歯磨き方法の改善や歯石除去によって健康な歯ぐきを取り戻せることも少なくありません。

歯周炎へ進行している場合には、歯石除去や歯周ポケット内の細菌を取り除く治療を行います。

必要に応じて歯周外科治療が行われることもあります。

ただし、どれほど歯科医院で治療を受けても、毎日のセルフケアが不十分では改善は難しくなります。

歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシも使用し、歯と歯の間のプラークを除去することが重要です。

また、喫煙は歯周病を悪化させる大きな危険因子です。

たばこを吸うことで血流が悪くなり、歯ぐきの治癒能力も低下します。

歯周病の治療効果を高めるためにも禁煙は非常に重要です。

さらに、定期検診を受けることも欠かせません。

歯石は自宅では除去できないため、定期的なクリーニングによって細菌が増えにくい環境を維持することが必要です。

一般的には3〜6か月ごとのメンテナンスが推奨されていますが、お口の状態によって適切な間隔は異なります。

歯科医院で相談しながら、自分に合ったメンテナンスを続けることが歯周病予防の基本となります。





◆◇ 歯周病は放置せず、早めの対策が将来の歯を守る

歯周病は初期には痛みがほとんどないため、「まだ大丈夫」と思って放置されることが少なくありません。しかし、症状がない間にも歯を支える骨は少しずつ失われ、気付いたときには歯がぐらつき始めていることもあります。

さらに、歯周病は歯を失う原因となるだけでなく、糖尿病や心血管疾患、誤嚥性肺炎など全身の健康にも影響を及ぼす可能性があります。

だからこそ、歯ぐきから血が出る、口臭が気になる、歯ぐきが腫れているなどのサインを見逃さないことが大切です。

毎日の丁寧な歯磨きやデンタルフロス・歯間ブラシによるセルフケアに加え、歯科医院での定期検診やクリーニングを習慣にすることで、多くの歯周病は予防・管理が可能です。

歯は一度失うと元には戻りません。将来も自分の歯で食事を楽しみ、健康な毎日を送るためにも、「痛くなってから」ではなく「症状がない今」こそ歯科医院でお口の状態を確認することが大切です。早めの予防と継続的なメンテナンスが、大切な歯と全身の健康を守る最善の方法となるでしょう。


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